いよいよ温気の3日目最終日です。
本日は下記のセッションを聴講しました。
・総会講演「超高齢化社会での温泉療法の役割(長湯温泉を通して)」
・シンポ8「The Heart Symposium」
・招待講演「ドイツ、中国における温泉事情」
・ランチョン2「健康増進を目指した温泉利用と地中海食」
・特別講演4「和音療法の過去、現在、未来」
一昨日から参加する本会では、療法医の先生方が、とても積極的に温泉療法のエビデンスづくりに取り組んでいて、とても驚いています。結局、なんだかんだ言って、世間でもエビデンスが問われたり、医療が絡むと余計にエビデンスがさけばれます。なので、温泉のエビデンスを作るということは、温泉を正しく理解していくためにも必要です。特に、温泉によっては色々な物質が含まれたものもあり、有害事象が発生することは少なくないので、その意味でも、しっかりと研究していくことは重要だと改めて感じました。
そんなことで、本日の1つ目の面白かったのは、「気候」と病気の関係についてエビデンスを用いて、お話されていた講演。たしかに、冬場に脳血管や心血管疾患などがよく発生すると言われますが、そのあたりの掘り下げ。また、寒さと熱さでは、どちらが死亡率に影響するかという話も興味深かったです。
中国の温泉の話では、なにより日本よりも深い歴史をもつ温泉療法。中国では「浴療」と言います。なんと古いところでは、6000年の歴史をもつとか。中でも、やはり中国と言えば、足湯です。いろんなところで、足浴とフットケアがセットで、お店があります。この伝統的かつ社会的な動きにもともと興味を持っていました。日本にも足湯・足浴という文化を広めていくのも面白いなーと聞いていました。
そして、ランチョンでは、古代ローマに学ぶということで、温泉と地中海食。温泉が身体によいという話はこの学会中、さんざん刷り込まれました(笑)が、地中海食とセットということで、威力が半端なかったです。オリーブの樹は神聖な樹木ということで、現地ではとても大事にされていることにも、興味をそそられます。抗酸化作用というのがポイントのようでした。
で、最後は、和温療法。聞きになれない人も多いと思いますが、いわゆるサウナ浴です。私も知らなかったのですが、和温療法は既にいくつかの疾患で保険適応がされております。リハビリの一貫として組み込まれているようで、運動療法と和温療法との組み合わせなどして、処方されるようです。最近は特にサウナについてメディアで取り上げられていますが、もともと日本でも臨床応用という形で、エビデンスづくりは進んでいます。ちなみに、多彩な効果ということで、血管・心機能の改善、自律神経活性の是正、神経体液性因子の是正、血管新生作用、抗酸化作用、免疫能up、心身リラクゼーションなどがあるようです。あと、最後のスライドでは、和温療法器および家庭用温環リバランス器(つまり家庭用サウナ)でのコロナ不活化の傾向が確認されたということでした。コロナでも安全に施行できるみたいですね。ただ、大勢で入る場合の検証はしていないと思うので、そこは今後の課題ですかね。
そんなことで、3日間。温泉ではじまり温泉で終わる。
そんでもって、本日はあきる野の瀬音の湯よりリモート参加。温泉地からの温泉気候物理医学会への参加でした(笑)
温泉地で温泉の学会。究極かもしれません。
<備忘録>
(総会講演)「超高齢化社会での温泉療法の役割(長湯温泉を通して)」
・トマトの写真。炭酸ガスの気泡
・湯温41度、入浴7分半身浴、出浴後バスローブ着用
・入浴前後での表面温度の変化
・心拍出量の変化:入浴前後で30%増加
・血管抵抗の変化:入浴前後で25%減少
・静脈血のガス分圧・ph変化
・長湯温泉の効果
・温熱と炭酸泉>血管拡張>血管抵抗低下>心拍出量増加>末梢血流の増加>酸素量増加・温熱効果
・長湯温泉による血管機能改善効果の検討
・血管内皮機能(FMD)の改善効果
・ニトログリセリンに対する反応NMDの変化
・脈波伝搬速度の変化
・温泉活用型の健康づくり(長湯温泉)
・運動浴槽を使用
・総合体力評価が24%増加
(シンポ8)「The Heart Symposium」
「気候や温度と心血管系」
・温熱療法(WAON療法):一酸化窒素産生の増加など
・サウナ浴:高血圧発症が抑えられる。Finlandでの研究(2017)
・週5回以上の入浴週間で血中BNPの上昇が抑えられる
・入浴頻度が多いと心血管疾患の罹患は少なかった
・温浴の効果のメカニズム
・運動による効果と類似
・有害事象としては、突然死、熱中症、血圧変動>高齢者が注意
・1月、12月が搬送件数が多い。6-9月が少ない
・肺塞栓症も
・寒さは熱さより死亡に影響する。全世界384カ所のデータより実証。7000万にん
・寒さによる死亡率0.4%。寒さによる死亡は7.3%
・アメリカ人の体温は10年で0.03度低下。理由は感染症の減少やエネルギー消費の減少
・様々な生体のマーカーの季節変動
・気候や温度は生物に影響する
(招待講演)「ドイツ、中国における温泉事情」
Hedeo A. Baba「CO2 Balneotherapy in Germany」
・―
「中国的に楽しむ温泉の魅力」
・華清池温泉。6000年の歴史を持つ
・長江で有名な温泉
・おうとう温泉、廬山温泉、黄山温泉、湯山温泉ほか
・浴療の歴史
・現代の中国には、約3000カ所の温泉地
・医療こう泉
・宜春温湯温泉
・千年以上の歴史
・温度68-72度
・セレンが高い
・無色無臭
・炭酸塩泉
・効能
・江西省では、「粉」が有名、「橙(だいだい)」でも有名
・セレン温泉水豆腐、セレンミネラルウォーター
・足湯が多い
・湧き出る源泉。市内にのこる。中国では「井」という
・足湯スタンドとバケツ。
・温泉スタンドは、キャッシュレス
・足浴(伝統的なフットケアも)。若者もお年寄りも、雨の日も足浴
・源泉の周りには温泉よりも足湯が多い
・中国で人気の温泉
・スーパー銭湯型。水着、男女混浴
・様々な薬草風呂が人気
・スマホ、撮影ok
・水着や浮き輪を打っている
・中国の温泉の楽しみ方
・大型の温泉施設はだいたいはずれ
・温泉付き客室は意外に多い
・チェックアウト12時頃なのでゆっくりできる
・地方の郷土料理が楽しい
・外資系ホテルも温泉地に登場
・菊花
・効能:発熱・頭痛・咳・咽頭痛・充血・めまい・ふらつきなど
・温泉の保護
・まとめ
・伝統的な温泉地が多数。湯治文化
・温泉と伝統医学が結び付いている
・温泉と通じた食文化
・未病を治すための養生の考え方
(ランチョン2)「健康増進を目指した温泉利用と地中海食~イタリアに学ぶ~」
横山淳一「健康増進を目指した温泉利用と地中海食~古代ローマに学ぶ~」
・地中海型食生活による食の改善
・地中海文明での水利用の発展
・水とともにいきる
・古代ローマの水道橋と噴水・泉
・英国のローマ浴場(Roman Bath)
・古代ローマ時代の浴場を再利用し都市計画
・天然温泉。公衆浴場。
・現代のイタリアでの温泉利用
・イタリア全土で200カ所
・入浴、飲泉、吸入、泥浴、洞窟など
・温泉療法専門医が常駐する温泉保養地がある
・イスキア島
・100以上の源泉
・温泉療養専門施設が多くある
・サトゥルニア
・硫黄泉
・38度
・モンテカティーニ テルメ
・飲泉として利用。飲泉は社交場
・ヨーロッパでもっとも美しいテルメ神殿
・サルソマッジョーレ
・社交場
・バーニョ ヴィニョニ
・世界文化遺産
・ローマへ向かう宿場町
・滞在型リゾート
・食の欧米化は生活習慣病の元凶?
・地中海食はNo。スローフード
・オリーヴオイル>動脈硬化抑止
・how to eat well and stay ell >書籍
・7nation study。血中コレステロール値と冠状動脈硬化による死亡率との関係
・動物性コレステロールが良くないということを突き止めた
・地中海型食事(地中海食)
・伝統食。西欧の食の原点
・オリーヴオイルを用いて食材を活かす
・サレルノ
・10人に1人が100歳以上のイタリア長寿村「アッチャロリ村」人口700人
・オリーブは熟すと、40-50%が油になる
・オリーヴオイルの特徴
・油性のジュース:自然食品
・母乳の脂肪酸構成に近似
・オレイン酸を最も含む
・参加されにくい油。過酸化脂質の生成が少ない
・抗酸化物質が豊富
・オリーヴの樹は、神聖な樹木
・最も長生きする生き物
・果樹の嬢王
・何にも勝る人類への神からの貢物
・平和と繁栄の象徴
・もともと日本への紹介は、イワシのオイル付け
・イワシは酸化されやすい
・魚の塩焼きではなく、オーブンでオリーブオイルを塗って焼く
・野菜も、吸収効率があがる
・地中海型食事では、血管障害の再発が少ないという研究結果
・日本型食事に地中海型の
・――
・現代に求められる食事
・古代ローマ(地中海文明)での原則を温泉利用、食生活に取り入れると、健康増進とともに日本での地方創生・新興に繋がる
(特別講演4)「和温療法の過去、現在、未来」
・包括的心臓リハ(予後の改善・QOL改善)
・運動療法:増負荷療法
・和温療法:減負荷療法
・両者の併用療法はより効果的
・Systemic Adaptationをもたらすのではない
・和温療法室。鹿児島大学リハビリ科
・遠赤外線乾式サウナ治療室を設置
・A-Bの間で温度差10度
・小型和温療法器。薬事承認機器
・和温
・大型和温療法室
・効果:
・血管内皮機能の改善
・生活習慣病
・和温療法は、全身の血管拡張により
・心不全に対する非薬物療法と和温療法の併用は、重症心不全に対して効果的と考える
・抗血栓作用がある
・和温療法の多彩な効果
・血管機能・新機能の改善
・自律神経活性の是正
・神経体液性因子の是正
・血管新生作用
・抗酸化作用
・免疫能のup
・心身のリラクゼーション
・2020年4月新規保険収載:和温療法
・ただ、点数は高くない
・閉塞性動脈硬化症の包括的リハでも、運動療法と和温療法は両輪
・和温療法の今後の展開
・疾患別
・和温療法器および家庭用温環リバランス器での、コロナウイルス感染への変化
・不活化される
・安全に施行できる
・予防の示